ランキング頼みの出版業界について
大手の書店に行きますと、そこにはたいてい書籍検索用の端末が置いてあります。
各端末の使い勝手は書店によって違うわけですが、しばらく前から端末の画面に「ランキング」のボタンが見られるようになりました。
■ランキング頼みの出版業界
6/4放送のNHKクローズアップ現代で、「ランキング依存が止まらない 〜出版不況の裏側〜」と題した放送がありました。
一般読者のなかには、ランキングトップになるような書籍しか購入しないという人までいるとの内容。
ランキング上位になる本にはその本なりの価値もあるでしょうし、ベストセラーをすべて否定するわけではありません。しかし、ランキング上位の本しか読まないというのでは、あまりにももったいない気がします。
このような傾向になってからベストセラーとなっている本が、数年後、数十年後にも読み継がれているのかどうか。
おそらくそれらのベストセラーの中には「2008年上半期のベストセラー」というように、記録の上でしか後世に残っていかないものも出てくるのではないでしょうか。
本来なら多くの人びとに読まれるべき内容の本が、他のベストセラー本との競争に敗れ、人知れず消えていく・・
このような事態が現に発生しているものと思われます。
もちろん、本を選ぶときに他の人の意見を参考にすることはかまわないと思います。
しかし、アマゾンの★の数が少ないなどの理由で、読む前からその本を除外するのはやめるべきでしょう。これはランキングで本を選ぶことと逆の理由で、本来価値のある本を自ら遠ざける結果になるからです。
読書をするときに、いつも心に留めておきたい言葉を一つ。
読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。・・・中略・・・
ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、しだいに自分でものを考える力を失っていく。
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