比良山系縦走路(中途断念)

 連休を利用して、以前から計画していた比良縦走に行ってきました。しかし、天候の不順などで計画していたルートは走破できませんでした。以下はその記録です。


■計画
 当初の計画では10/7(土)〜10/8(日)にかけて、権現山から縦走ルートに入り、蛇谷ヶ峰を経て朽木村へと下る、南比良・奥比良の最長ルートを考えていました。
持病の腸脛靱帯炎の再発が憂慮されましたが、25kgの重量を背負っての歩行・階段昇降トレーニングと、日常のランニング、腸脛靱帯炎用のストレッチなどを行い、肉体的な準備は可能な限り行いました。

 私はもともと滋賀県民であるのですが、比良へは小学生のときに学校のスキー教室で行ったくらいで、山登りへは行ったことがありませんでした。そんなわけなので、比良に関する知識はほぼゼロの状態。
とりあえず「山と高原地図 比良山系」と「地球の風 比良山系」という、地図付きのガイドブックを購入。概要をつかんでから、ジュンク堂で該当の地形図を購入。地形図には磁北線を4cm間隔で書き込んで、あとは徹底的に読み込みを行いました。
 計画は2日間なので、テントで1泊することになります。いちばんの問題は「水」ですが、「山と高原地図 比良山系」にはルート上に水場マークは1つしか記載されていません(比良岳の南)。一方、「地球の風 比良山系」には4カ所の水場マークがありますが、比良岳の南には水場マークはありません。ネットで調べても、比良には水場が少ないとの情報があり、万一に備えて水は家からかついでいくことにしました(5L)


■装備
 装備はごく標準的なテント山行装備であります。
<ザック>
 ザックは45+5Lの「ジャックウルフスキン マウンテンガイド」です。重量が1750gと軽めで、ハイドレーションシステム対応なので歩行中の水分補給もしやすいです。

<テント>
 コールマンの「バックパッカー 1ポールテント」。重量が1500gと軽いです。ただし、その分狭いのはしょうがありません。

シュラフシュラフバー
 シュラフは10年前に買ったものなので、サイズも重さも最新のものよりは劣っていると思います。シュラフバーは持って行くか迷いましたが、実際持って行って正解でした。

<ストーブ>
 先日新調した、「EPI REVO−3500」。非常にコンパクトで、EPIのチタンクッカーに、230タイプのガスカートリッジとともに収納できてしまいます。ただし、炎が中心部分に集中するため、煮込み料理には注意が必要です。

<コンパス>
 「SUUNTO A−30」 ルーペ付きなので、老眼進行中の私にとっては使いやすいです。歩行中は常に首から下げてすぐに確認できるようにしておきます。予備として、同じSUUNTOのルーペ無しタイプも持参。万一の事態に備えます。

<マップケース>
 「ISUKA マップケース」 くるくる丸めた状態にして、左側のショルダーベルトに小型カラビナで装着。そのままだとぶらぶらするので、ザックのヒップベルトに通したベルクロベルトで固定しておきます。これで雨のときでも、ルート確認を面倒がらずに行うことが可能になります。

<ナイフ>
 以前は日帰り登山にさえ、「ブリュワーエクスプローラー」(現在入手困難)を持参したものです。しかし、このナイフは長期にわたる自給自足生活で使用するためのものであり、日本の山での遭難においては、あきらかにオーバースペックかつ重量オーバーです。日帰り登山では使う場面はありませんでした。
 重量のことも考慮して選択したのは「S&W SWATナイフ(小型)」。これはハーフセレーションタイプで、半分が波刃となっています。今回の山行では、調理をすることが無いのでこれで十分。調理をするならビクトリノックスのキャンパーあたりが最適でしょう。

<記録システム>
 メモ帳は「コクヨ LEVEL BOOK WATERPROOF」。防水用紙を使用した測量野帳です。記入にはふつうのボールペンを使用。ふだん愛用しているゲルインキのボールペンは、水に濡れると文字がにじんで判別できなくなります。
これ以外に、「マルマン COVER NOTE B7」も持参。山とは関係ないことはこれにメモります。サイズが小さいのでかさばりません。


■記録
 土曜日は天候不順だったため、10/8(日)〜10/9(月)にかけての山行になりました。

10/8 JRで下車駅の和邇駅へと向かいます。JR湖西線は、強風で止まることがよくあります。危惧していたとおり、強風で飛ばされたビニール袋が、架線にからまり電車がストップ。2駅手前の堅田駅で足止めをくい、約1時間遅れて、07:34に和邇駅へ到着。この時点で大幅に予定が遅れました。
和邇駅から権現山への登山口までは、相当な距離を歩かなければなりません。
09:53 登山口。登山カード記入。
09:58 水場。わき水が出ており、近所の人たちも水をくみにくるようです。シェラカップで飲んだ後、500mlのナルゲンボトルに補給。
水場を左に折れて、しばらく林道を歩きます。ようやく登山道に入りました。道はごくふつうの登山道。一定のペースを心がけます。
11:00 ズコノバン到着。ここは霊仙山への分岐があり。地形図でも分かるようにかなり平らの部分になっています。ここでザックをおろして一息ついていると、下から男性二人が登ってきました。あいさつをしてからストレッチをしていると、今度は雨が降ってきました。雲の流れは非常に速く、風もかなり強い状態。ここから先は傾斜もきつく、登り切るとそのまま稜線歩きが続くため、しばらく様子を見ることに。この場にいる限りはある程度雨は避けられるので、少し早いですが昼食を取ることにしたのです。
まずは雨がもっとも避けられ、かつツェルトが張れるところを選定。細引きをツェルトに通し、2本の木立に固定します。完全なテント型にはせずに、一方を座るためのスペースにしてから、もう一方はタープのように屋根にしました。雨は当分止む様子はなく、ストーブで湯を沸かし、アルファ米のきのこご飯とみそ汁を作ります。その後横になって、ラジオを聞きながら天候の回復を待ちます。ラジオの天気予報はあくまで地上の天気ですので、晴れといってもあてになりません。とりあえず明日の天気が良さそうなので、雨が止めばそのまま登ることにしました。
12:58 雨が止んだため出発。
13:42 権現山山頂。手前の登りはかなり急で、19kgの荷物を背負った状態ではかなりきつかったです。
ここから先は、けっこうアップダウンを繰り返しながらの稜線歩き。小女郎峠付近では、かなり強烈な風が吹き付ける状態でした。その後蓬莱山に到着。ここはびわ湖バレイスキー場であるため、スキー用のリフトであがってきた人たちがたくさんいます。すぐとなりの打見山まではスキー場の斜面を降りていくのですが、これがけっこうきつかったです。まるでSASの選抜訓練で志願者が歩かされる、ペインファンの様相でした。
16:00 打見山山頂。ここは地上からのゴンドラがあり、いくつかの宿泊施設もあります。木戸峠までの降り口を探しますが、宿泊施設のでかい案内板のみで登山用の標識が見あたりません。ずっと下のほうにようやく標識があり、木戸峠を示す方を見てびっくりしました。そこはまたもやスキーのゲレンデです。しかたなくSASの志願兵のごとく下っていると、傾斜はさらに急になり、「こ、ここは上級コースとちゃうん?」とおもわず声に出してしまうくらいの急斜面になりました。ようやく下りきったところにキャンプ場があり、今日はここでキャンプをすることに。

16:30 テント設営。あいかわらず風が強いため、なるべく風をさけられる場所を選びました。下の方にある平地には、単独行の方と数人のパーティーのテントがいくつか見えます(150メートルくらい離れてましたが)。キャンプの時に近くに人がいるというのは、結構心強いものです。この一帯はシカが非常に多く、設営場所を決めるときにも1匹が逃げていくのを見ました。
地面の小石や木の枝を取り除いて整地したのち、テント設営。荷物を置く木の台があるため作業は快適に行えました。
17:40 夕食。アルファ米の山菜おこわと豚汁(生タイプ)。
 風がかなり強くなってきて、時折雨も降ってくる状態。気温も非常に低くなってきました。ラジオでは北アルプスでの遭難を報じています。60代の姉妹がツェルトでビバークしているとのことですが、他人事とは思えず無事を祈りました。

テント内では「FoxFury Performance OutDoor 」を脇に置いた状態で点灯。室内は非常に明るくなります。眠くなると消灯し就寝。結構何度も目覚めました。

05:00 起床。ようやく風はおさまり、空はほとんど雲もなく晴れています。
朝食 またもやアルファ米 五目ご飯と豚汁(生タイプ)。アルファ米シリーズは、この五目ご飯が一番具も多くてお薦めです。次第に空が明るくなり、雲が赤く色づいてきました。打見山まで登り返せばきれいな日の出が見られたでしょうが、SASの選抜訓練なみの登りは朝っぱらからは無理です。
シュラフやマットなどを乾かしながらゆっくりします。気温は9度。06:30になるとラジオからラジオ体操が流れ始めたので、何年ぶりかでラジオ体操をしました。
本来の予定はもはや達成不可能なので、木戸峠から木戸へ下山することにしました。そのため撤収はかなりゆっくり目に。
07:41 キャンプ地を出発。
分岐にてプロトレックの標高を補正。
木戸峠からクロトノハゲまでは、左がかなり切り立った崖になっており、慎重に歩きます。
クロトノハゲ手前の分岐で再度標高を補正。
しばらく下ったところで左右の分岐。正規のルートは左。右のルートには木の枝が積み重ねてあり、ルートではないことを暗示しています。念のため地図とコンパス、標高の表示で確認して左のルートへ。下っていくとかなり道が狭くなり不安になりますが、地図の通りに右のヘアピンカーブとなり、その後は延々と九十九折りの下りになります。
途中で、番屋岩と天狗杉を経て、さらに砂防ダム2つを経ますが、2つめの砂防ダム付近はかなり草が多く、なかば藪こぎ状態。そこを抜けるとゆるい下りになっていき、湖西道路にぶちあたります(10:04) 右に行ってから湖西道路をくぐり、左に戻ってから琵琶湖方面に向かうと、右手に登山カード入れがあります。ここから登る時には、地形図だけでなく、ふつうの地図も持っていないと、登山口までがわかりにくいと思います。。
道なりに歩いてJRの高架に向かい、志賀駅に到着(10:50)
10:56 京都行き普通に乗車。先頭のほうはがら空きで、後ろ側も比較的空いていました。


■感想
 キャンプ泊の山行は、やはり水の確保が最重要課題です。水が確保できるなら、重量の軽減になりますし、山行の疲労低減やペースにも大きな違いが出てくると思います。次回は是非予定通りに縦走できるようにしたいと思います(まあ、無理はしませんが・・)


■今回の写真

権現山山頂からの眺め。あらためて琵琶湖の大きさを実感。


今にもSASの志願者が駆け下りてきそうなブレコンビーコンズ国立公園のペンイファンならぬ、びわ湖バレイのゲレンデ。この芝生を見ると転げ回りたくなるのが人情ですが、結果はシカの糞まみれになります。


朝食製造。このコッヘルはEPI純正なのですが、ショップではもう見かけません。ストーブは新しく買ったREVO。


テント。木の台がとても使いやすかったです。痕跡を残さずに撤収しました。


下山途中での琵琶湖の眺め。