ジャズは難解なのか?

 持ち物整理もいよいよ音楽CDに手をつけることになりました。
私の持っているCDのジャンルは大ざっぱに分けると以下のようになります。

  ・ジャズ  4割
  ・ハードロック/ヘヴィメタルHR/HM)  3割
  ・その他(クラシックその他)  3割

 聴くジャンルの過去の推移を書くと、クラシック --> HR/HM --> ジャズ
といったところですが、現在は再びHR/HMの割合が多くなっている状態であります。

 クラシックからHR/HMへはすんなり入れたのですが、ジャズを聴き始めたときはたいへんな労力が必要でした。
経験上、クラシックが好きな人はジャズを嫌うことが多いようで、私もジャズはまったく聴いていなかったのです。


 20代半ば頃のことですが、当時勤めていた職場に元プロのジャズ奏者(クラリネットとアルトサックス)だった方が来られました。
初めのうちは雑談のなかでジャズの話などを聞いても、ジャズを聴こうと思うことはありませんでした。ときどき古いジャズのテープを持ってこられたりしたのですが、「ちょっと、ありがた迷惑やなぁ」と正直思っていたのです。
チャーリー・パーカーがいい」とか言われたところで、テープを聴いてもまったくワケがわかりません。
「困ったなぁ」と思い、同じ職場の先輩(20近く年上)でジャズのわかる人に「ジャズってどんなもんなんですか?」と聞いてみました。
その答えは「ジャズがわかれへんと、人生の半分を損するみたいなもんや」という、とんでもないものでした。その先輩を普段から崇拝していた私は、さっそくジャズの攻略に取りかかったのであります。


■ジェリー・コカーの「ジャズを聴く」
 実際にCDを聴いても理解できないため、まずは理論から入ろうとの方針を立てました。そこで購入したのが、以下の書籍。

ジャズを聴く
ジャズを聴く小木曽 俊夫

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モダンジャズの歴史に名を残す演奏家の代表曲を、微に入り細にわたって分析・解説しています。はっきり言ってほとんど理解できませんでした。
頭に残ったのは、「ジャズの真髄はアドリブ(即興)である」ということ。しかし、そのアドリブがわかんないので、どうにもなりません。

とりあえずはこの本のおかげで、曲の形式と聞き所(アドリブ)がどの部分なのかが分かりましたから、この本で紹介されている曲が入っているCDを購入。古い演奏家のものは入手しづらかったりしたため、まずはジョン・コルトレーンの「至上の愛」を買ったのです。

至上の愛
至上の愛ジョン・コルトレーン マッコイ・タイナー ジミー・ギャリソン

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star真剣に向き合いたい一枚(2枚だけど)
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しかし、これが大失敗。ジャズの初心者にはこのCDは理解不能でした。
いよいよ「ジャズなんかわからんでもええわ!」と匙を投げそうになったのですが、これが最後とばかりに、「チャーリー・パーカー オン・ダイアル」という、4枚組全81曲のCDを購入。1ヶ月の間、これを四六時中聴き込みました。
こうしてようやく「アドリブ」というものが理解できるようになったのです。これが別の演奏家のCDだったら、理解にもっと時間がかかるか、それとも途中でジャズを放り出していたかも知れません。

チャーリー・パーカーが分かるようになった時点で、他の演奏家のアドリブも楽しめるようになっていました。
ビ・バップからハード・バップへと時代的な幅を広げ、その後はギターやピアノなど、楽器によっても幅を広げるように聴き込んで行きました。その状態は10年くらい続いたのですが、その後は別のジャンルの音楽も偏見を持たずに幅広く聴けるようになりました。。
そこでようやく、先の先輩の「ジャズがわかれへんと、人生の半分を損するみたいなもんや」という言葉の意味も分かってきたような気がするのです。


●参照動画
  Charlie Parker: Celerity (Celebrity)http://jp.youtube.com/watch?v=XFx9ZBlBUuc

とにかくすさまじいアドリブソロであります。この人の場合は、同じ曲を続けて演奏しても、メロディがまるっきり変わってしまうのです。これほどのアドリブを展開できるプレイヤーは、空前にして現時点で絶後と言っていいでしょう。