フィードバックの無いエレベータの操作ボタン

 私は通常、ほとんどエレベータを使うことがありません。足腰を鍛える意味合いもあるのですが、もう一つ理由があります。
それは地震や故障などによって万一エレベータが停止した場合、その状況を自分でコントロールできなくなるからです。
このような考え方について、ニック・ストーンも以下のように述べています。


「・・・これで他人の手に身をゆだね、自分の運命を自分で決められなくなった。それがおれは大嫌いだった。」


アンディ・マクナブ著(伏見 威蕃訳)「リモート・コントロール」 p440 より引用

■エレベータのユーザビリティ
 かといって、常にエレベータの利用を回避できるわけでもなく、しかたなく使う場合ももちろんあるわけですが、そのときに思うのが最近のエレベータの「操作ボタン」の使いにくさです。

 新しい機種はその多くが「静電式ボタン」になっています。軽く指を触れるだけでボタンが反応するタイプです。
一見このボタンのほうが使いやすそうに思えますが、ボタンを操作したときの物理的なフィードバックがありません。ランプが点灯したかどうかを見ることでしか、ボタンが反応したことを確認できないのです。
さらに問題なのは、階数を示す数字ボタンの見にくさです。たとえば静電式ボタンによくある、「ボタンを押す前はランプが消灯していて見づらく、ボタンを押したのちにランプが点灯して数字が見やすくなる」というタイプ。このようなタイプの操作盤では、視力の弱い方やお年寄りなどは「自分が行きたい階を選択するとき」に、とても手間取ることになります。

最近の工業製品のデザインは、まずデザインありきとなっていて、ユーザーの使い勝手がないがしろにされている例が多すぎるような気がします。
これからますます加速していく高齢化を前にして、根本的なところの発想を変えていかないといけない時期ではないでしょうか。


●参照URL
市営交通バリアフリー計画 地下鉄・ニュートラム(既設線) 施設整備基準]
   http://goo.gl/tB8d0



●参照書籍

リモート・コントロール (角川文庫)
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