週刊東洋経済 6/21号「最強の読書術」
表題の特集のなかに「心臓外科医は、普段から食卓の上に置かれた醤油差しなどの小瓶を倒さないように気をつけている」というものがありました。
このような生活上の習慣というのは、自ら明確に意識して実践しないとなかなか身につかないものだと思います。
そして、ここでもっとも大事な部分は「普段から気をつけている」というところ。
「普段は意識してませんが、手術のときは気をつけます」というのでは、全然間に合わないのです。
■五輪書
前記の内容と同じようなことを、宮本武蔵が五輪書のなかで以下のように述べています。
兵法の身なりの事
「すべて兵法にあっては、平常の身体のこなし方を戦いのときの身のこなし方とし、戦いのときの身のこなし方を平常と同じ身のこなし方とすることが大切である。」
目付の事
「戦いのときの目のくばり方は、大きく広くくばるのである。
・・・(中略)
こうしたことは、いそがしいときに急に身につけることはできないものである。ここに書いてあることをよくおぼえ、いつもこの目つきになって、どんなことがあっても目つきがかわらないように、十分に修練すべきことである」
武道やスポーツの世界でよく言われる「平常心」という言葉ですが、「本番のときも普段と同じように心を落ち着けて望もう」という意味で用いられることが多いようです。
しかし、五輪書で武蔵が述べていることは全く逆で、「普段から常に実戦と同じ心構えで行動しろ」と解釈されます。普段からそれを実践して初めて、本番でも普段通りの力が発揮できるのです。
●参照書籍
五輪書 (講談社学術文庫) | |
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