放射能の除染


 3月の原発事故発生時、手持ちの書籍を何冊か読み返したのですが、その中にアンディ・マクナブの「解放の日」がありました。この本には60枚ほどの付箋を貼り付けていたのですが、以下に引用する部分には付箋は貼っていませんでした。2007年に翻訳されてから数回読んでいたのですが、この記述部分はあまり起きそうもない、起きたとしても他の国の出来事といった認識しか持てなかったのです。しかし原発事故後に読み返してみて、いかにその被害が大きいかをようやく理解できました。

 もちろん知っている。汚い爆弾すなわち放射能爆弾とは、通常の爆弾を放射性物質でくるんだものだ。爆発によって通常の爆弾のような破壊をもたらすとともに、周囲に放射性物質を撒き散らす。マンハッタンぐらいの広さの範囲――もしくは風しだいでもっと広い範囲――が汚染される。立ち入り禁止にして、建物をサンドブラストで洗浄し、舗装をやりなおし、汚染した土をブルドーザーで撤去しなければならない――そして何年もたってから、ガン患者がどの病院でも列をなすようになる。汚い爆弾は、テロリストにとってはじつに好都合な武器だ。ただ爆破するのではなく、国の心臓をえぐり出す。
 ジョージが、おれの考えを読んだ。「チェルノブイリなみの惨事だ、ニック。チェルノブイリが、われわれの裏庭で起きる……」


アンディ・マクナブ「解放の日」p84


この引用にある除染の方法はチェルノブイリで実際に行われたものです(あくまで特定の範囲)。
福島原発で起きた事故では、放射能爆弾とは比べものにならないほどの放射性物質が放出されたわけですから、除染にいったいどれだけのコストと労力、そして時間がかかるのかわかりません。事故発生からもうすぐ7ヶ月になるわけですが、国の対応はあまりにも遅すぎます。せめて子供たちが通学する道だけでも線量の高いところは早急に舗装をやり直すべきでしょう。

●参照書籍

解放の日
解放の日アンディ・マクナブ 伏見 威蕃

角川書店 2007-05
売り上げランキング : 35790

おすすめ平均 star
star久々の新作

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



今日の動画
  ●STEFANO SECCHI Feat TALEESA - A Brighter Day - 1993  http://www.youtube.com/watch?v=GzCVkagGYHM