ゲームの上達と小脳内部モデル

 不定期にYoutubeにゲーム動画を挙げているが、ゲームをやらない人にはあまり興味はないかもしれない。
そもそもなぜいい年してゲームを続けているのかというと、反射神経と判断力の訓練のためだ。


 これまでにアップしているゲームは、「WRC9」と「Dirt Rally」であるが、いずれもレーシングゲームのなかではシミュレータ寄りに分類されている。楽しく遊べるゲームというよりは、より本物に近い運転操作と技術が要求されるのである。
 ハンドルコントローラはモーターによるフィードバックがあるため、パワステのよく効いた実車よりも重い。そのため上腕や三角筋、それに広背筋が筋肉痛になったりするほどだ。また、クラッチ付きの3ペダルでのマニュアル設定モードでやっているため、シフトダウンはすべてヒールアンドトウでエンジン回転を合わせている。また左足ブレーキも多用するため、プレイ中はたいへん忙しい状況となる。

 前記二つのゲームを比較すると、より実車に近い操作性が要求されるのは「Dirt Rally」のほうだ。クラッチペダルとHパターンのシフトレバーの操作がうまくかみ合わないとギアチェンジできない。また、高速で走行中にジャンプした場合、車体が空中にあるときにブレーキペダルを踏むとエンストしてしまう。非常にシビアな操作が必要なのである。


■小脳内部モデルによる上達の体感
 ゲームをプレイするとき、路面の状態やコース、車種などによって操作感が大きく変わってくる。あるコースを開始して、続けて何度もそのコースを走っていれば徐々に上達していくと考えがちであるが、実際はちがう。
 何度もクラッシュを重ねながらリプレイをしていると、ある程度のところからだんだんと下手になっていくことが多々あるのだ。そのような時にはそれ以上プレイを続けず、半日から数日放置する。その後同じコースを同じ条件で走ると、見違えたように上達しているのである。スポーツなどでもこの現象は体感できると思うが、ゲームの場合はより短いサイクル・多様な条件で体感することができる。
 無駄に練習時間を増やしても上達することはなく、小脳内部モデルによる学習のプロセスを理解したうえで練習に取り組むのほうがより効率よく上達できるといえよう。


●参照URL
 小脳に学習で獲得される内部モデル
   http://jnns.org/pastpage/niss/2000/text/kawato2.pdf

 脳と機械学習  -学習則の「謎」を追う-
   http://www.hokkaido.med.or.jp/cmsdesigner/dlfile.php?entryname=medical_report&entryid=00024&fileid=00000455&/1222-19.pdf&disp=inline

 計算論的神経科学と 小脳内部モデル - ATR脳情報通信総合研究所
   https://bicr.atr.jp/~kawato/Lec2009R_Cere_S.pdf

 

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