感染を遅らせることによるメリット

 ニュースでたびたび出てくる、新型コロナウィルスの感染拡大を遅れさせることのメリットであるが、大事な情報がすっぽ抜けているため補足しておきたい。


 2009年の新型インフルエンザのときに米国が懸念していたのは、患者数増加にともなう人工呼吸器の不足であった。
人工呼吸器が不足しない程度に患者の数を抑えることができれば、人工呼吸器が不要になる程度まで回復した患者の分を、次の患者へと回していくことができる。そのために、人工呼吸器の絶対数が不足しないように感染の速度を落とすことに米国は必死だったのである。
 場合によっては、高齢者を犠牲にしてでも、若年層へ人工呼吸器を優先的に使用することを当然のごとく想定していた。


 現在の日本での新型コロナウィルスの報道では、そのあたりの解説が抜け落ちているため、感染拡大を遅らせることのメリットを示すグラフを見せたところで、その意味を正確に理解してもらえないのである。

 このあたりを踏まえて現在政府が行っている対策の意味を考えれば、それが必ずしも大げさなことでないことは明らかであろう。
 ただし、学校を一律で休校させるなら、それに伴って発生する不具合に対して、休校要請とほぼ同時に不具合対策も発表するべきであった。


 現在日本では、多くの公共施設などが2週間の閉館を実施している。また、不特定多数の集まるスポーツやライブイベントなども観客を入れずに行ったり、中止したりしている。
フランスなどでは人数や地方によって、人の集まるイベントを禁止(要請ではない)することにした。


 その一方日本の一部では、ライブを予定通り行う主催者もいるし、それを見に行く人もいる。
 それらにどのくらい拡大予防もしくは感染拡大の効果があるのかは、現時点でははっきりした答えは出せない。しかし2週間という期間、拡大予防を最優先させるため個人・組織として全力であたるべきではないのか。また、そこで発生する経済的な問題などは、早急に政府が支援を表明するべきではないのかと思う。

 

●参照URL
  政府の動きで死者数が8分の1に。スペイン風邪の疫学データからみる新型コロナ対策
  https://forbesjapan.com/articles/detail/32628


 日本における2009年新型インフルエンザ
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B2009%E5%B9%B4%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6
 このときと同じ現象が今回も繰り返されている。


 マシュマロ実験
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9E%E3%83%AD%E5%AE%9F%E9%A8%93
 ライブを演る人や行く人は、マシュマロを食べちゃう人なのか。

●TED ホアキム・デ・ポサダの、マシュマロはまだ食べちゃダメ!

  https://www.ted.com/talks/joachim_de_posada_don_t_eat_the_marshmallow?language=ja


今日の動画
  Primitive Technology: Pot Made of Wood Ash - New Clay Alternative
   https://www.youtube.com/watch?v=rG6nzrksbPQ