クマバチの習性

 先日ちょっと書きましたが、その補足になります。

●参照URL
  森林生物 クマバチ  http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/seibut/bcg/bcg00051.html


※クマバチとクマンバチ(スズメバチ)はまったく別のハチです(地方によってはスズメバチのことをクマンバチと呼びます)


1.まずクマバチかどうかを確認
 「ブンブン」と大きな羽音がするのは、クマバチの羽が小さいことがその理由です。スズメバチは相手を威嚇するため故意に大きな羽音をたてますが、クマバチは相手を威嚇しているわけではありません。羽音が聞こえたら「黄・黒」のツートンカラーかどうかをまず確認してください(スズメバチはオレンジ色と黒の縞模様)


2.なぜ人間に向かって急接近してくるか
 春の繁殖期にはオスが自分の縄張りでホバリング(同じ箇所で動かずに飛行)しながらメスが近づくのを待ちます。そして目に入った動くものにものすごいスピードで近づいていき、メスかどうかを確認するのです。蝶や鳥に対しても同じ行為をしますが、攻撃を加えようとしているわけではありません。小さな木の枝を彼らの視界に入るあたりに放り投げると、その枝を追っていきます。メスでないとわかるとまた同じところに戻ってホバリングを再開します。
たとえ相手がメスよりはるかに大きな動物であっても、彼らはメスであるかどうかを確認しようと接近していきます。この習性を知らないと山のなかでたいそう怖い思いをしますが、彼らには攻撃をしようという意図はありませんのでそのまま放置しておけば大丈夫です。


3.大工バチ
 クマバチの英名は「carpenter bee」。メスが卵を産むとき、木に深い穴を開ける(強力なアゴガリガリ削る)習性に由来します。立木に直径2cmくらいの穴がぽっかり空いている場合、クマバチの巣である可能性があります。こちらがちょっかいを出さないかぎり攻撃してくることはありません。


■結論
もっとも重要なことは、クマバチとスズメバチを正確に見分けること。そしてクマバチであればほっといて問題ありません。オスは針がありませんから刺されることはありませんし、針を持つメスもこちらからよっぽど悪いことをしない限りは刺されることはありません。
もし相手がスズメバチであれば事態は一変します。対処法として、まずはその場に硬直すること。その後じりじりとその場から離れることです。


今の季節はスズメバチの活動はまだ活発化していませんが、夏から秋に入ってくるとスズメバチに対しては十分警戒する必要があります。日本において、人間以外の生物(ウイルスは除く)でもっとも多くの人間を殺しているのはスズメバチです(平均して年間40人くらい)。彼らの習性と私の体験についてはまた後日書きたいと思います。