日経ビジネス “抜け殻”正社員 派遣・請負依存経営のツケ

 ●http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20081027/175268/

 やはり正社員の抜け殻化は、日本全体を覆い尽くしていたのですね。
私自身は派遣社員なのですが、最近特にこのことが実感されていました。


 ゲーリー・ベッカーという経済学の学者によると、労働者が持っている能力は以下のように大きく二つに分けることができます。
 1.一般的熟練
 2.企業特殊的熟練

 一般的熟練は、どの会社でも通用するような、コミュニケーション能力、文書作成能力、その他の事務能力・・などが、どれだけ身についているか、またそれらの能力を活用してどれだけ生産性を上げられるかを示します。

 一方、企業特殊的熟練は、その人が所属している企業や職場特有の専門知識を示します。この知識は汎用性がありませんので、他の企業に転職した場合は役に立ちません。


 派遣社員を企業が活用しはじめたころというのは、高い「一般的熟練」能力を持った派遣社員を配置することが主目的だったのではないでしょうか。それが「企業特殊的熟練」を要する仕事まで、どんどん派遣に置き換えていった結果、今のような抜け殻正社員しかいない企業が日本中にはびこることになったのでしょう。



 2年ほど前まで日経ビジネスは定期購読していましたが、購読を解約してからはほとんど読んでいませんでした。今回は記事の内容がおもしろそうだったので、書店で買おうと思い、仕事帰りに梅田のヒルトンにあるジュンク堂書店へ立ち寄りました。しかし売り切れのようで見あたりません。しかたなく阪神百貨店の裏にあるブックファーストに行きましたが、ここも売り切れの模様でありません。ようやく大阪駅前BFにある書店で見つけて購入することができました。日経ビジネスはたいてい売れ残っていることが多いのですが、今回は特集記事の内容から、普段買わない人たちが結構買っているのではないでしょうか。


●参考書籍

人的資本―教育を中心とした理論的・経験的分析
人的資本―教育を中心とした理論的・経験的分析ゲーリー・ベッカー 佐野 陽子

東洋経済新報社 1976-01
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