理想のスケジューラー

先日の「送別会日程データ消失事件」の反省から、スケジュール管理について少し考えてみました。


■リハーサル
そもそもなぜ今回のような事態が発生したのでしょうか?
「機械などに頼っているから忘れてしまうのだ」という意見ももちろんあります。しかし、このようなことは数年に1回くらいしか発生しません。確率としては非常に低いです。

パームなどでスケジュールを記録していなかった場合、より多くの「あっ、忘れてた!」が発生するでしょう。
外部の記録に頼らず、自分の記憶のみですべての予定をこなそうとする場合、各項目を繰り返し思い返して、記憶を強固にしておかなければなりません。これは心理学で「リハーサル」と呼んでいる行為です。
あるイベントの予定があり、それがあまり日常的ではない場合は意識しなくてもリハーサルを繰り返して忘れることは無いでしょう。しかし、「ねぎを買う」などのような小さいイベントの場合、リハーサルを1回も行うことなく「あっ、忘れてた!」となる可能性が高いです(少なくとも私は)


■リマインダー
リハーサルの手間をなくしたり、リハーサル漏れをなくすような解決策がなにかないのでしょうか。あります。思い出させてくれるもの(リマインダー)を活用することです。

リマインダーには2つの機能があります。シグナル(お知らせ)とメッセージ(内容)です。

・シグナルの例  たとえば、今日の21:00のTV番組を録画予約する必要があるとします。それを即実行できない場合、腕時計のアラームを20:50にセットします。時間がくればアラームが鳴るわけですが、「TV録画」という内容自体を忘れてしまっていれば「なんで鳴ってんだろう?」とアラームを停止し、録画し忘れることになります。シグナルだけではこのような限界があります。

・メッセージの例  上記と同じくTV録画の必要がある場合、アラームの「内容」を入力しアラームが鳴ると同時にそれを表示できる機能があれば、「あっ、TV録画だ」とその内容まですぐに思い出すことができます。

腕時計のアラームではシグナル機能しかありませんが、各PDA・携帯電話では標準装備されている機能でシグナルとメッセージの両方を実行可能です。

「私は、ポータブルコンピュータがずっと小さくなっていつでも持ち運べるようになる日を待っている。そうなったら、私は覚えておくという苦行をこのコンピュータにまかせっきりにしてしまおう。」


D.A.ノーマン

●参考文献

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論
ドナルド・A. ノーマン 野島 久雄


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