蔵書を増やす


 去年の膵癌手術の前に、ほとんどの蔵書を処分したことは以前も書いた。今思えば処分しすぎてしまったことになるのであるが、20分の1の確率で死亡する手術を前にすればそう間違った判断でもなかったと思う。所有していることに意味がない本もあったし、そのような本をたくさん置いておくことは地震のときなどに問題を引き起こすことになるからである。


 それでもあまりに少なくなりすぎてしまったので、退院後には108円で売られているものをメインに300冊ほど増やした。今はいったん購入を中断して手当たり次第読んでいる状態。
 一方で電子書籍のほうは購入を控えている。紙の本と比べて一長一短はあるが、電子書籍化されていない本の方が圧倒的に多いし、紙の本は中古価格が安いものも多いからだ。また、パラパラとページをめくりながら目を通すのも紙の方がはるかにやりやすい。そのあたりは電子書籍のハード・ソフト面がもっと改良されていかなければならない点であろう。


 そんなこんなで紙の本と電子書籍を同時進行で何冊も読んでいたりするのであるが、最近読んだなかで面白かったものをそれぞれ紹介しておきたい。


■紙の本

メービウスの環〈上〉 (新潮文庫)
メービウスの環〈上〉 (新潮文庫)バート ラドラム

新潮社 2004-12
売り上げランキング : 643339


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ロバート・ラドラムの代表作としては「暗殺者」(原題はThe Bourne Identity)があるが、以前も書いたようにあまりにも内容が古くなりすぎている。
 一方この「メービウスの環」はラドラム晩年の作品でもあり、古さを感じさせない内容だ。ラドラム作品には外れがないと言われるだけのことはある。


電子書籍

WORLD WAR Z〈上〉 (文春文庫)
WORLD WAR Z〈上〉 (文春文庫)マックス ブルックス

文藝春秋 2013-03-08
売り上げランキング : 19434


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ブラッド・ピット主演で映画化されたが、映画と原作とはまったく別物として考える必要がある。映画の方を先に見ていたのであるが、原作の小説を読んで驚いた。圧倒的に原作の方が面白いのである。原作者の幅広い知識とリサーチ力には心底たまげた。
 翻訳もたいへん読みやすい。ただし、本の厚みから考えると上下巻に分ける必要はなかったのではないかと思う。最近は108円程度まで古本の価格が下がってきたので、電子書籍よりも紙の本をおすすめする。


今日の動画
  Scorpions - Don't Believe Her - HQ Audio
   https://www.youtube.com/watch?v=yEN8Bg57bFc