システム全体を俯瞰することの重要性


 今日も大分で震度5弱地震が発生した。気象庁の発表のように、まだ予断を許さない状況が続いているようだ。


 大きな被害が出るような規模の地震が発生したあとの対処については、「自助・共助・公助」を基本原則とする必要があることを今回の熊本地震で再認識させられた。ただ、障害者や高齢者の方などはすぐさま周りからの助け(共助)が必要になる場合も多いと思われるため、あらかじめ準備や計画を立てておく必要があるだろう。
 その段階で必要になるのが、社会システム全体を俯瞰することだ。行政機関・医療機関NPOなど様々な機関が対処に当たっていても、あらかじめ各機関が想定していたこと以外の事態には対処しきれていないのではないだろうか。報道を見ていても、ペットを連れている人・発達障害を持つ本人やその家族などは避難所で理不尽な扱いを受けてしまう事態も起きているようだ。このようなことは阪神淡路大震災東日本大震災でも起きていた。これまでに出てきたような問題点を組み込んだ上で行政側のマニュアルを作成しないと、今後発生しうる災害でも同じことが繰り返されてしまうだろう。


 上記のような考察をした理由は、今日発生した自宅でのトラブルにある。トイレに行って水を流したあと、しばらくすれば止まるはずの水がいつまでたっても流れ続ける事態が発生。母親に大声で呼ばれてトイレに行ってみるとチョロチョロと水が流れ続けている。ヘッドランプを頭に装着し、使い捨てのニトリルゴム手袋をはめてタンクの上蓋を開けてのぞき込んでみると、タンクの底にあるフロートバルブの下に金属製の部品が挟まっていた。フロートバルブが閉まりきらないため水が流れ続けている模様。表にあるコックを閉じてタンク内が空になってからその金属部品を取り除いた。その間に母親が外出中の父親を呼び戻していた。対処が終わった直後に帰宅してきた父親に聞くと「それは節水のために取り付けた」とのこと。フロートバルブの上に乗っけるようにそれを取り付けると、タンクから流れる水量を少なくできるらしい。だいぶ前から水の流れが悪いと感じていたのであるが、これが原因だったのだ。

 水道代が節約できるのはいいことではあるが、これによって問題が起きないか念のため調べてみたところトラブルの原因になることが判明した。トイレで用を足して水を流したあと、汚物が視界から消えてしまえば十分と考えがちであるが、それが大きな間違いなのである。トイレというのは便器から各家屋の排水管を通り、公共の下水道管まで流れてからさらに汚水処理場まで流れていく。トイレで用を足した後にタンク内から流れ出る水の量が少ないと、見た目は流れ去ったと思っても下水道管まで行かずに止まってしまう可能性が高くなるのである。実際、節水のために細工をしたり、もともと節水タイプとなっているようなトイレを設置しているような家では、配管詰まりのトラブルがよく発生するらしい(断水中に避難所などで発生する配管詰まりは水量が絶対的に不足することが原因であろう)。
 自分が目の前で見ている事象にだけとらわれて、そこから先にある目には見えていないシステム全体を考慮せずにいると、システムの機能を麻痺させるような事態を引き起こすことになるという卑近な例といえるだろう。



今日の動画
  本田美奈子. 「つばさ」−岩崎宏美 「つばさ」
   https://www.youtube.com/watch?v=dpNUB4JpEBQ