北アの遭難、生かされなかった防寒着 猛吹雪で判断力低下か (日本経済新聞)
●日経記事 http://goo.gl/0dcqj
事故当初は軽装であったことが指摘されていましたが、実際は防寒具やツエルト(簡易テント)も持参していたようです。これまでに発生した気象遭難でも、防寒着を持参しながらそれを着ないままに低体温症で死亡した例はよく見られます。低体温がもたらす判断力低下の過程がよく認知されていないこともその原因ではないかと思います。
装備ももちろん大切ですが、それを生かすためにも低体温症の初期症状が自分で認識しずらいことをよく理解しておく必要があるでしょう。
厳しい気候に無防備でさらされていると、低体温になることがある。たいていは数時間にわたってゆっくりと体温が下がり、ついには心機能が停止する。低体温は酒の酔いに似ている。初期段階はとても楽しい気分になる。たいていはそんな症状が進んでいることにすら気がつかない。わたしはウェールズの山脈地帯から、三体の死体を回収したことがある。みな生前は聡明な人物だった――そして、強靱な肉体の持ち主だった。どんな理由があったのかは知らないが、彼らは自分の肉体の限界を超えてしまったのだ。ここから、はっきりした教訓が読み取れる。何人たりとも、雨風にさらされて平気なものなどいないのだ。生き延びるには、雨風を避けることが大切なのだ。低体温で命を落とすこともある。うそだと思うならそれでもいいが、雨露をしのげるような場所を探して、茶を入れても構わないではないか。
「戦場を駆ける医師」リチャード・ヴィラー p30
低体温症にかかりはじめると、中央のサーモスタットが反応し、熱を四肢から体の芯に引き寄せようとする。そうなると、手足がこわばりはじめる。芯の温度が落ちるにつれて、体は頭からも熱を引き寄せ、血の循環が悪くなって、頭脳が必要とする酸素や糖が得られなくなる。それがほんとうに危険なのは、なにが起きているかという自覚がないことだ。低体温症が真っ先にやるうちのひとつは、自分を救おうとする意志を奪うことだ。ふるえるのもやめ、心配もしなくなる。それどころか、死にかけていても、いっこうに気にならなくなる。脈拍が不規則になり、眠くなって意識がもうろうとし、やがては意識を失う。治すには外部から熱を与えるしかない――火、温かい飲み物、あるいは他人の体で。
「ファイアウォール」 アンディ・マクナブ p504
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