車に対してクラクションを鳴らす必要があるとき

 本当に必要な状況ではクラクションを鳴らすべきなのですが、その必要な状況というのはどんなときなのでありましょう。


ラクションを鳴らすことが有効なのは(自分が優先道路を走っていて、脇道などから相手が道路上に出ようとしている場合など)
  その対象たる相手の運転者が
  1.クラクションの音を確実に聞き取れる
  2.そのクラクションがどこから鳴らされたか認識できる
  3.クラクションを鳴らした方向に視線を向け、相手を認知する
  4.自分が停止する必要があると脳で判断する
  5.脳から「ブレーキを踏む」よう足に指令が送られる
  6.正確にブレーキペダルを踏む


以上を相手が的確にやってくれなければなりません。それを期待して、減速もせずにクラクションを鳴らすことはとても危うい行為です。他人の注意力や運転技術に完全に依存してしまう状態になるからです。


私は普通自動車の免許を取ってまだ1年ちょっとですが、それよりずっと前から自動二輪に乗ってました。自動二輪・乗用車を運転してきたなかで、見えている相手に対してクラクションを鳴らしたことは1度もありません。クラクションを鳴らすのは「警笛鳴らせ」の標識があるところや、その標識が無くてもクラクションを鳴らさないと危険と判断した狭い山道のブラインドカーブくらいです。
自分の進路上に脇から出てこようとしている車があれば、まずブレーキを踏みます(当然それ以前に後方の車がどれくらい車間距離をあけているかなどは把握しておきます)
また前方を走る車やバイクが極端に遅いときなどは何か異常があるのではないかと考えて、まずは減速して車間距離をあけ、状況の把握に努めるべきでしょう。


道を譲ってくれた相手の車両にクラクションを鳴らす運転者がいますが、お互いの姿が見える状態であればお礼は手を挙げるなり、会釈をするなりすれば十分だと思います。車同士では挨拶程度のクラクションでも、周りにいる歩行者にとってはただの騒音だからです。
かといって絶対クラクションを鳴らすなというわけではなく、相手に注意を喚起し、それに対する相手の認知・行動が十分なされるだけの時間的余裕がある場合は鳴らすべきでしょう。それもクラクション以外に注意喚起の方法がない場合に限ります。


新御堂筋での怖い体験
 10年ほど前のことですが、まだ大阪に住んでいてオートバイ(ヤマハのセロー)で新御堂筋を北上していたときのことです。片側二車線の追い越し車線(右側)を走っていたのですが、とつぜんセローが「ゴホッ、ゴホッ」とせき込み始めました。
「???」
と思った直後にエンジンが停止。すぐに「ガス欠や!」と悟ってハンドル左側のクラッチバーを握りました。まず考えたのはガソリンタンクのレバーリザーブに切り替えること。しかしそのレバーは車体の左側についており、切り替えるためには左手を使わなければなりません。しかし左手はクラッチバーを握ったまま。どんどんスピードが落ちていくなか、ちょっとパニックに近い状態でした。普通に考えればギアを6速からニュートラルにまで下げてクラッチバーを離し、その左手で車体横のタンクレバーリザーブに切り替え、再びクラッチバーを握り、セルスターターを押すと同時にその時点で最適なギアにあげて、速度に見合ったアクセル開度にしつつ半クラを長めにしながらクラッチをつなぐ・・・って、そんなこと絶対できない! できるわけがない!
そこでもっと安易な方法として考えたのが、左手はクラッチバーを握ったまま、右手で車体左側のタンクレバーを操作すること。しかしレバーは結構下のほうについているため確実に進路を外れ、側壁か後方から追い抜いていく車に衝突すると確信。
次に思いついたのが、右手でハンドル左側にあるクラッチバーを握り、空いた左手でタンクレバーを操作・・・これはさらに確実に死ぬと確信。

といろいろ思案しているうちに、名神高速道路と立体交差する地点が近づいてきました。名神の下を新御堂筋がくぐるところ(吹田市の江坂町付近)です。惰性で坂を下っていきますが、その横を時速80キロ以上で車が追い抜いていきます。しかも決まってクラクション鳴らしっぱなし。そしてとうとう立体交差の底に到達して停止。体を右のガードレールに寄りかからせてタンクレバーリザーブに変更。ギアをローまで下げると同時にセルを回してエンジン始動。その時点でさらに1台がクラクション鳴らしっぱなしで追い抜いて行きました。その後に車が来ないのを確認してようやくピンチから脱出したのです。


今日の動画
  ●Stay / Anywhere But Here by Sick Puppies  http://www.youtube.com/watch?v=f4AgfMLEaWI