記録と蓄積のための入れ物

 今読んでいる本のなかの1冊に、弁護士が書いたものがあります。民事を中心に扱ってきた弁護士さんなので、破産管財人をされていたときのエピソードがたくさん出てきます。それを読んでいて思い出したのが、今からちょうど10年前に勤め先の会社が倒産したときのことでした。


■一本の電話
 その日私は休みをもらっていたため自宅にいました。そろそろ晩ご飯の準備でもしようかと思っていたところ勤め先の上司からの電話が入ったのです。
「会社が2回目の手形の不渡りを出した。常務が自殺して、社長は行方をくらましている」と、上司(IQ150)はいつものようにきわめて冷静に事実を伝えました。
会社の倒産に関しては数ヶ月前からなんとなく不穏な動きもあったため大きな驚きもなかったのですが、入社したときからとても世話になっていた常務(ちっちゃい会社だったので)が自殺したことにはたいへん驚きました。


 電話を切った後、自転車で向かったのは行きつけの古本屋でした。そこは法律関係の品揃えが充実していたためです。厚さ10cmくらいある破産法の本を2冊(合計1万円くらいした)を買って帰宅。ネットで会社の倒産に関する情報を収集しながら破産法の本を読み始めたのです(ちなみに私は法律に関して素人)


■アイデアプロセッサ「IP」
 破産事件の大まかな流れと詳細な手続きについて調べると同時に、労働基準監督署や裁判所の破産係などに直接話を聞いて情報を収集していきます。それらの記録は逐一HP200LXにインストールしている「IP」へと記録していきました。大阪市内をMTBで走り回りながら情報を集め、それをすぐに記録していく用途には200LXはまさに最強だったのです。




上の画像がそのときに作成した内容です。未払い給与と退職金、そして解雇予告手当まですべて回収するまでに半年ほどかかりました。後半は債権の入金待ちのみとなったので記録量も減りましたが、トータルでA4用紙10枚に該当する記録が残ったのです。


■記録媒体の汎用性
 記録をしたソフト「IP」ですが、なにしろ古いソフトであるため数年前から新たにレジストすることができない状態になっているようです。「IP」にはテキストファイルへ出力する機能がついているため問題はないですが、ソフトによっては出力機能がないものもあります。そのようなソフトには長期にわたる記録行為を安心して行うことができません。以前からたびたび書いてきたように、記録する形式はシンプルな「プレーンテキスト」がもっとも安心できます。効率よく入力・記録ができるようマシンにこだわることも必要でしょうが、私の場合は必ずただのテキストファイルで入力可能であることを絶対条件としています。


10年という歳月は実にいろいろなものを変化させました。そのなかで変わらないのがいまも使い続けているHP200LXとそこに自ら蓄積した情報です(ネット上には決して公開されていない)。これから10年たっても、HP200LX以上の盟友が現れることはないでしょう。

●おまけ動画
I'dees - Time  http://www.youtube.com/watch?v=O8wPWxRaJ4s