救急箱

 昨日のことですが、夕食時に私の部屋の呼び出しブザーが鳴りました(無線式で、1階台所に呼び出しボタンがあり、それを押すと2階にある受信機のブザーが鳴りライトが点滅する)
ブザーが鳴っただけでは用件がなにであるのかはわからないため、私が1階に降りていくことがルールとなっています。時間帯から、夕食の準備ができたことを知らせているのだと考えられました。1階に降りて台所のドアを開けると、予想に反してテーブルに血が点点と・・・


■直接圧迫止血法
 どうやら母親が野菜カット用の器具で指を切った様子。まな板の上にはキャベツの千切りと器具が置いたままになっています。
「血がとまらへんねん!」
と言いながら母親は水道の水で傷口を洗っています。テーブルに目をやると血にまみれた絆創膏の箱があります。
ようやく状況が読めたため、傷口の殺菌について考えました。指を切った状況と水道水で十分傷口が洗われていることからこれ以上殺菌は不要と判断。次いで止血について考えます。近くに清潔な布が見あたらないため、クレラップサランラップではない)を手に取り20cmほど切り取って、それを出血している指に巻きました。母親を椅子に座らせクレラップ(断じてサランラップではない)の上から傷口を押さえるように言います。
「テーブル拭いて!」
と言われましたが、優先順位が低いと判断して後回しにしておきます。血が止まるまではあと数分は直接圧迫止血を続けて貰うことになるので、一呼吸置いてから周りを再度じっくり見ていきます。揚げる前のトンカツがテーブルに置いてあるのを発見。反射的にガスレンジを見ると、火にかかったままの揚げ物用鍋がありました。すぐにガスを消して温度計を見ると、針が振り切れてました。

 これでようやく急を要する事象は消え去りました。4分ほど経過したのでクレラップを外して傷口を見たところ血は止まっています。親指の先端を爪と並行に幅1cmほど切ってましたが、深さはそれほどでなかったので「キズパワーパッド」を親指の先端から覆うように貼り付け、ノーマルの絆創膏を巻き付けるように貼り付けて補強しました。
その時点で鍋の温度が175度くらいに下がっているのを確認し、トンカツを揚げ始めました。揚げている合間にキッチンペーパーと「ウーロンポイ」でテーブルの血をきれいに拭き取って、今回の騒動は一段落となったのです。


■救急箱
 家にあった救急箱は、風邪薬や下痢止め薬などしか入っておりませんでした。いずれも必要ないものです。家庭で発生する可能性があり、かつ迅速に対応が必要なのは切り傷とやけどであります。確認してみると薬箱とは違うところに「マキロン」がありましたが、当然のごとく期限切れの状態。これは本格的に一から揃える必要があると判断してTreoにリストアップしていきました。


1.オキシドール(消毒液)100ml x2本
2.消毒用脱脂綿
3.滅菌ガーゼ
4.防水パッチ大
5.絆創膏
6.自着性包帯
7.ネット包帯(頭部用)
8.眼帯
9.小型ハサミ


とりあえずの応急処置にはこのくらいあれば十分でしょう。あとは状況に応じて活用できるかどうかの問題です。救急箱の中身はある程度シンプルにしておくほうがいいと思います。何種類も詰め込んでいると、思わぬ誤用をしてしまう可能性もあるからです。


●参考書籍

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 サバイバルとは生きるための技術である。道具が存在すると思ってはいけない。必要なものは自然から手にいれ、それを最大限に活用する。
 救助隊の注意を引く方法、救助隊を期待せずに自力でコンパスを使って戻る方法を覚える。健康維持とケガや病気の手当て法も必要だ。また、自分と状況をともにする仲間の士気も保たねばならない。
 道具がなくても、何もない訳ではない。技術と経験が使える。そのために、つねに技術や経験を磨き、知識の幅を広げるように心がける。
 「SASサバイバル・ハンドブック」 p14


SASシティー・サバイバル
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パニックになるな
 パニックに陥ると判断力と行動に影響が出る。冷静でいること。患者を元気づけてやらねばならない。応急処置の仕方を知っていればパニックに陥ることはない。


手近にあるものを活用する
 すべての緊急事態に備えることは不可能だし、それぞれ対応が違ってくる。包帯がなければ、Tシャツを包帯代わりに使う。クレジット・カードで救急車がくるまで、肺の穴をふさぐことだってできる。

「SASシティー・サバイバル」p205