アマゾンマーケットプレイスの登場と、古本価格への影響

 先日も書いたように、長年の間にたまりにたまった蔵書を処分中です。

 アマゾンマーケットプレイスと「日本の古本屋」http://www.kosho.or.jp/servlet/top
の両方を使って相場をチェックし、一定以上の価格がついているものについては、アマゾンに出品するようにしています。

 私が出品するときのスタンスは、「安くてもいいから、すぐに売れて欲しい」というもの。もうけを出したいというより、早く手元から離れて欲しいわけであります。

 そのような方針だと、値段設定も一番安くするわけですが、しばらくするとそれがある問題を引き起こしていることに気づいたのです。



■価格カルテル

 私が最も安い値段を設定すると、数時間後か数日後には同じ本を出品している出品者がさらに値段を下げてくることに気づきました。
アマゾンマーケットプレイスのシステムでは、同業者が自分より低い価格を設定すると、それがすぐに識別できるようになっています。
チェックを怠らない同業者は、こちらの動きをすぐに察知して価格を下げてくるというわけです。


 最初は何気なく「安い方が早く売れるだろう」と考えて値段設定していたわけですが、すぐにより低い値段をつけられてしまうのでは意味がありません。
 ここではたと気づいたのが、アマゾンマーケットプレイスでよく見かける、「同一価格横並び現象」の理由。
これは自然発生的な「価格カルテル」と言えるでしょう。出品者たちが高い利益を確保するために、設定価格があるレベルで横並びになる・・

購入希望者にとってはなんともやりきれない現象です。特に入手困難な本については、不当に高い値段がキープされていることも多いからです。



■参入障壁の低さ

 アマゾンマーケットプレイスによって、アマゾンのIDを持っている人はだれでもアマゾンに出品することが可能になりました。
 これは参入障壁が非常に低くなったことを示します。それによって以下のような現象が発生します。


 1.現在絶版で、高い価格でも売れる本がある
 2.プロの古本屋、せどり、素人がその情報をもとに動き出す
 3.初めは高値で売れていたが、「2」の結果供給過剰になる
 4.不良在庫を回避するため、価格の暴落が発生する


 このような現象が起きると、かつては1万円以上もの価格がついていた絶版本が、いまは100円で投げ売りになっている、という結末になります。
よほどの希少本でないかぎり、日本全国くまなく探せば、それなりに本は残っているものですから、当然といえば当然の結果です。

 6,7年前ならネット販売をする「せどり」もビジネスとして成り立っていたでしょうが、ネット環境の変化や、だれでも同業者になりうるという参入障壁の低さから、すでにビジネスとしては終わっている感があります。
暗黙の価格カルテルでしか利益を確保できない・・という、終わっている産業の典型的な末路に、非常なむなしさを感じました。