銃道 JUDO "The way of the Gun"

 銃に興味のある方ならすでにご存じかもしれませんが、ネットでの情報が意外と少ないため、もっと広く一般の方にも知っていただきたく、ここで紹介させていただきます。
 彼の名は、「Castle K. Nishimoto キャス・ニシモト」。一見すると小柄で、めがねをかけたふつうのおじさんなのですが、実はこの世界ではとんでもないキャリアの持ち主なのであります。日系3世で見た目はどこから見ても日本人。国籍はもちろん米国です。
米国第82空挺師団に所属したのち、FBIに移籍。そこでSWATチーム、さらにはHRT(人質救出部隊)でも拳銃射撃とスナイパーのインストラクターをされていたということです。FBIのHRTと言えば、そのレベルは軍の特殊部隊に勝るとも劣らないほどの優秀さで知られております。そこでインストラクターをしていたといえば、その能力の高さは推して知るべしでしょう。
詳しくは以下のリンクを是非参照してください。

 ●参照URL
  http://iss.unlv.edu/pdfs/Nishimoto_CV.pdf
  http://www.youtube.com/watch?v=2oO7nVXMjek&eurl=http://www.gun-shi.co.jp/wisecart02.html&feature=player_embedded


■月刊GUN 付録DVD
 さて、このニシモト氏ですが、月刊GUNの付録DVDにて、「銃道」という企画で講師を務めておられます。その非常に論理的かつ的確な説明とお手本は、たいへん参考になります。現在「其の八」までありますが、今後も続くのかどうかはわかりません。以下に、其の一から其の八までの概要を紹介したいと思います。興味のある方は是非バックナンバーを取り寄せて見てください。


●其の一 射撃姿勢の巻 2005/6月号
 立射の説明。ウィーバーとアイソースレスの長所と短所。銃の握り方の説明。MP5・M4の構え方と射撃方法。
 私の場合、十数年前からずっと「ウィーバースタンス」でした。ウィーバーとは利き手はまっすぐのばしますが、もう一方の手は肘を下に下げ、体は相手に対して45度ほど斜めに向けます。こうすることで、相手にさらす体の面積を小さくし、かつ心臓を腕でガードします。ドラマ「24」で、ジャック・バウアーがこの射撃姿勢をとっています。しかし、このウィーバーは欠点も多く、時に致命的な結果をもたらす危険もあるため、現在では「古い」と言われています。銃道でも実戦では実際には使いにくい構えとして説明されております。今は私も、両手をのばして構える「アイソースレス」に変更しました。


●其の二 ホルスターの巻 2005/9月号
 ホルスターのタイプ(レッグ・ヒップ)。装着位置。銃の抜き方。抜いてからの構え方。銃を右手で抜く場合の左手の扱い方。サイティングの方法。ダブルタップ。競技射撃と実戦射撃の違い。
 ひとつひとつの動作を、実際にやりながら細かく説明しているので、非常にわかりやすい。


●其の三 スナイパー(姿勢)の巻 2005/11月号
 スナイパーの役割。射撃姿勢の種類。プローン(伏射)の姿勢詳細説明。
 この巻では、拳銃射撃については出てきません。スナイパーに興味がない方は、見る必要はないでしょう。


●其の四 スナイパー(技術)の巻 2005/12月号
 エイミング(狙い)、ブリージング(呼吸)、トリガーコントロール(撃発)、フォロースルー(残身)、ボディポジション(姿勢)。実射。スコープ調整。
 これもスナイパー技術のみ。ただし、他の映像として、IPSCのローカルマッチが収録されているので、興味のある方はどうぞ。


●其の五 バリケードシューティングの巻 2006/2月号
 バリケードで体を支えない。ウィーバーとアイソースレスそれぞれのバリケードシューティング。ニーリング・プローンでのバリケードシューティング。車をバリケードにしたシューティング。跳弾の説明。
 非常に実戦向き。ここでもウィーバーの欠点が際だちます。ポイントは、バリケードで体を支えないこと。バリケードは体を隠す、または相手の銃弾から体を守るためのもの。このDVDでは触れていませんが、一般住宅の壁は、銃弾が貫通するため、身を隠すだけならいいのですが、守ることはできません。


●其の六 ターニングの巻 2006/4月号
 0〜45度、0〜90度、0〜180度のターニング。ワンハンドでのターニング射撃。足の動きの説明。
 射撃姿勢はアイソースレスが前提となっています。この映像を見ると、ウィーバーの欠点がもっともよくわかります。体の向きを変える方向ですが、常に前方向へと体を回します。武道をやったことのある方は、後ろに足を下げて、後ろ方向へと向きを変えたくなるところだと思います。確かに後ろに体を回す方がクイックなのですが、実戦の場ではそこに何があるのかわかりません。敵に撃たれた同僚の死体が転がっており、それに足を取られて転倒する危険もあります。そこで、常に前方向へと体を回転させるよう徹底的に体に覚えさせる必要があるのです。


●其の七 ムービングの巻 2006/6月号
 前進(両足交互、片足ずつ)、左右の移動。相手から距離が近い場合の、後退しながらの射撃。上半身を動かさない。
 映画やドラマなどでよく見かける、相手から非常に近い距離での拳銃の突きつけ。相手が手を伸ばせば銃にさわれるような距離で銃を突き出すことは、致命的な結果をもたらす危険がありますので現実世界ではあり得ません(ドラマ24では、ジャック・バウアーが毎回のごとくやってますが・・・)。今回の講義でも、3〜10フィートの距離からは、ホルスターから銃を抜いた位置より射撃を開始し、両手を伸ばしての射撃姿勢をとれる位置まで後退しています。後退できないような場所の場合、銃はつきださずに脇腹付近で相手に向けておくべきです(映画「ワイルドギース」ではこれが徹底しています。さすがマイク・ホアーが監修していただけのことはあります)


●其の八 リローディングの巻 2006/8月号
 スピードリロード、タクティカルリロード、アドミニストレイシブリロード。予備マガジンの装着方法。各リロードの手順。
 実戦の場では、与えられた時間と危険度から、それぞれのリロード方法を選択する必要があるようです。競技射撃ではほとんどの場合スピードリロードになるのでしょうが、実戦では状況に応じた方法として3種類のリロード方法があるわけです。


 以上、概要のみ書きましたが、実際の映像を是非見ていただきたいです。のちにこれが編集されて、単品としてDVDが発売されるのが理想ですが、そうでなかったら二度と手に入らない貴重な映像となってしまうかも知れません。
近所の書店に注文すれば、2週間くらいで届きますので、早めに手に入れることをおすすめします。


●参照動画
1.http://jp.youtube.com/watch?v=gTMnvv4d-cg
2.http://www.youtube.com/watch?v=JbC5mEc6ipE
3.http://www.youtube.com/watch?v=ZTr8xvkUWp4
4.https://www.youtube.com/watch?hl=ja&v=cg0ud2SxQMo&gl=JP
5.https://www.youtube.com/watch?v=J5Qk07tNFFY
上の動画はいずれもアイソースリズ(アイソセレス)の姿勢となっています。