羽生永世七冠


 最後の永世竜王獲得まで時間がかかったが、ついに永世七冠という偉業を達成された。ただ単に「才能」という言葉では片付けられないくらい、到達するのが困難な記録と言えよう。


 羽生さんの尊敬できる部分として取り上げたいエピソードが二つある。


 まずひとつめは、村山聖棋士が亡くなったときの行動。村山さんは29歳でガンにより亡くなったのだが、本人は自分が亡くなったことを誰にも言わないよう遺言していた。しかし、やむを得ないことであるが、亡くなったことは関係者の間に当然ながら広まっていく。村山さんの弟弟子であった山崎(現八段)さんにも連絡は入り、山崎さんは村山さんの実家がある広島に向かった。村山さんのご両親と顔を合わせたときにある事実を聞いて、山崎さんは驚愕する。「羽生さんが来て、もう帰られた」と、ご両親は言われたのだ。
 当時の羽生さんは対局も立て込んでおり、その合間を縫って広島までやってきたのである。この話を「聖の青春」で読んだのであるが、著者の大崎さんが書いているように、羽生さんのすごさはやるべきことをどんなことがあってもやりとげるという行動力にあるのだろう。


 ふたつめであるが、瀬川五段がアマチュアからプロになるために奮闘していたときのことである。詳細は「泣き虫しょったんの奇跡」に書かれているが、非常に重要な場面で羽生さんが登場してくる。この下りを読んだとき、思わず「オーッ!」と声が出たのである。


 永世七冠を達成したときにも非常に謙虚なコメントをされていたが、羽生さんはとにかく威張らない。将棋の技術書以外の著作や対談なども飛び抜けて多く、将棋をやらない人も是非読むことをおすすめしたいのである。


●参照URL
 ドラマ「聖の青春」が久々に放送される模様。

TBSチャンネル
http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/d2782/

12/22(金)午後11:00〜深夜0:40


今日の動画
  【将棋】加藤一二三米長邦雄大盤解説【ひふみん】
   https://www.youtube.com/watch?v=pr6-Bv3RVTw