将棋の子


 これを書いている時点で藤井聡太四段が連勝記録を24とした。連日の報道によって、谷川・羽生によってもたらされた将棋ブームをしのぐような大きな波が起こっているようである。先日のニュースでは4歳の女の子が母親に連れられて将棋教室へとやってきた映像が流れていた。「おうちで練習したい」と話している女の子を見てなんともほのぼのしたのであった。
 子供が自分から興味を持ってやる気になっているなら全然問題ないのであるが、その一方で親が躍起になってやらせようとしている状況も起きているのではないかと危惧している。藤井四段が将棋に出会う前に夢中になっていたオモチャ(ピタゴラ装置みたいなやつ)が突然売れ出して品切れになっているとのニュースもあった。


 子供向けのオモチャと違って将棋は非常に奥が深く、数年・数十年も続けていけるゲームである。アマチュアレベルであれば長く続けられる趣味のひとつとしてたいへん優れているのであるが、プロを目指すとなるとかなり事情が変わってくる。今回の将棋ブームではプロを目指そうという子供たちもたくさん出てくるであろう。子供自身が自らの意思でそう考えるのであれば結果がどうあれ是非挑戦して欲しいと思う。しかし、親が子供に押しつけるような形で将棋をやらせるようなことは絶対にやって欲しくないと思うのである。


 表題の「将棋の子」にはプロ棋士になれなかった奨励会員たちが描かれている。その世界の凄まじさには言葉を失うしかない。なんて悲惨な厳しい世界なんだと、読み進めるうちに暗澹たる気持ちになっていく。しかし、最後まで読み終えるとそのような気分がみごとにひっくり返される。将棋を趣味としている人にも、将棋にまったく興味の無い人にもぜひとも読んでいただきたい本なのである。


●参照URL
  「負ければ奨励会退会」の将棋に負けた中座真三段(当時)に起こった奇跡
   http://shogiweblog.net/archives/1028

 上記リンクにある白黒写真は、「将棋の子」冒頭に出てくる中座真棋士(現七段)が四段に昇段したときのもの。


今日の動画
  【ピタゴラ】ビーすけを救え「ビーだま兄弟の大冒険」
   https://www.youtube.com/watch?v=6eXeUfaliXQ

 これぞピタゴラ装置の最高傑作。