「破天荒」の誤用


 以前から利用しているスマホアプリのSmartNewsであるが、広告が多くなり始めてからは全項目の4分の1程度しか読まなくなった。広告以外に、低レベルな記事が多くなってきたのも理由の一つである。
 非常に安い単価で記事の執筆を請け負っているライターが書いているものも多いため、誤字・脱字の他にも言葉の誤用が多く見られる。たいていのものは読み流せばいいのであるが、ライターが書いたものに限らず、テレビやブックオフ店内で流される録音された放送などにも最近目立っているのが表題にある「破天荒」の誤用である(ちなみにブックオフでは放送があまりにうるさいのでいつも耳栓を着用している)。


 もともとの意味はこれまでに誰もできなかったようなことをなしとげることを意味するのであるが、誤用している例では「無頼」「型破り」「破滅的」のような意味で使っていることが多い。何年も前からこの誤用については新聞記事になったりしているのであるが、むしろ誤用が広がっているようである。


 一方、誤用であるとされている用法が間違いではないケースもある。「全然いい」などのように”全然”を肯定の文脈で使う例である。夏目漱石夢野久作の作品でも肯定を強めるため普通に使われており、全然問題ない使い方なのである。


 長い年月の間に言葉の意味合いや使われ方が変化していくことはどうしても避けられないことであるし、そんなに目くじらを立てることでもないかもしれない。しかし、故事などに由来する言葉については意味が変質してしまわないように気をつけていきたいものである。


今日の動画
  Paco De Lucia, Al Di Meola and John McLaughlin - Mediterranian Sun Dance Live
   https://www.youtube.com/watch?v=ADwfyxpriAM