ドラゴンへの道(1972年 香港)


 私個人の意見としては、ブルース・リーの映画の中では最高傑作と言える。先日NHKのBSで放送されていたのを録画したのであるが、ステレオ音声で見たのは今回がはじめてである。
 格闘シーンでのステレオ音声は正直どうでもいいのだが、これこそステレオ音声の真骨頂といえるのがローマ市内でリーが現地の女性に誘惑されたのち、その女性の住居へと場面転換するシーンで一瞬流れる効果音。この映画は全体的にブルース・リーのユーモアセンスが爆発しているのであるが、中でもこの場面転換で流れる効果音は群を抜いて笑えるのである。


 この映画においてブルース・リーに負けないほどの存在感を示しているのはチャック・ノリスでもノラ・ミャオでもない。誰かというと木っ端敵役の赤タンクトップ男である。ブルース・リーがダブルヌンチャクで格闘するときに、赤タンクトップ男はやられてもやられても果敢に立ち向かってまたやられる。そのときに必ず段ボールの山へと突っ込んでいき、彼が倒れる動きと段ボールが崩れる動きが見事にシンクロするのである。同じようにやられている他の木っ端どもはけっして段ボールとからんでいかないため、このシンクロシーンは明らかにブルース・リー自身が演出したものであると推測されるのである。


 ちなみにブルース・リーの取り巻きをしていたユン・ピョウやジャッキー・チェンの姿はこの作品には見られない。設定がローマということもあり、登場させる場面がなかったのであろう。


今日の動画
  Tribute
   https://www.youtube.com/watch?v=okE_2okIKt8

 この曲は死亡遊戯のエンディングで流れる。歌っているのは死亡遊戯にも出演していた女優のコリーン・キャンプ。