フランス ニースでのテロ


 テロ組織との関連は現在のところ不明であるが、犯人が使用した武器やトラック内にあった武器、手口などを考えれば単独犯行だとしてもテロ行為と見なしていいのではないかと思われる。


 ニースにはRAID(フランス国家警察特別介入部隊、通称ブラックパンサー)の分遣隊があるが、犯人が乗ったトラックに応戦している段階では制服警官の姿しか見られなかった。犯人射殺後の映像ではRAIDの隊員と思われる姿があった。RAIDは昨年のパリ同時多発テロ事件の対処にも当たっている。ちなみにフランス各地にあるRAIDの分遣隊はかつてGIPNという別組織であったが、2009年にRAIDと統合された。


 非常事態宣言が解除される直前に今回の事件が起こったわけであるが、非常事態宣言が3ヶ月延長される模様。非常事態宣言を続けることはいろいろ問題もあるのであろうが、今回の事件への対処を見る限り、単独犯行に近いテロ行為への備えなどが十分ではなかったのではないかと思えてくる。パリ祭という大きなイベントであれほど人出があり、花火の音によって銃撃の音がかき消される状況であれば、大型車両の通行に対して厳しい検問を行うべきであろう。報道を見ても対処にあたっていた制服警官は拳銃で応戦していたようである。もし武装した犯人が複数いたり、複数の車両で犯行が行われていたら火力の点でまったく歯が立たずにもっと大きな被害になっていた可能性が高い。ここまでフランスが狙い撃ちされるような状況では、フランスへの旅行などは極力避けるべきであろう。


今日の動画
  RAID in Action France special police (SWAT)
   https://www.youtube.com/watch?v=EsJtVHt97Zk

 この映像はGIPNとRAIDが統合される前のもの。万一の場合に対テロ部隊がどのように動くかをあらかじめ知っておくことも重要である。たとえばハイジャックされたバスから人質が走って出てくるとき、全員頭の後ろに手を上げておりその後ひざまずかされているが、この時点では人質もすべて犯人扱いされる。人質に犯人の一部が紛れ込んでいる場合があるからである。