ブリコラージュとマクガイバリズム

 購読しているRSSに以下のような記事がありました。

●DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー・ブログ 「ありきたりの思考法からは、ありきたりの製品しか生まれない」  http://dhbr.hontsuna.net/article/2279366.html


レヴィ=ストロースが定義した「ブリコラージュ」という概念と、従来からの製品開発の方法とを比べています。しかし、ブリコラージュがあたかも最終的な目的を持たず、非論理的なその場しのぎの手法であるかのような印象を与える文章になっています。
各分野でこの用語の定義があいまいな部分があるようですが、最初に明確な目的があり、それを達成するために手近にあるものを組み合わせていくというのが基本定義ではないかと思います。

 記事の中に出てくる「シュヴァルの理想宮」にしても、素材は道ばたに転がっていた石(といっても結構大きい。石材と言うべき)を使って、かなり明確なイメージを元に理想宮を作り上げていきました。記事だけを読むと拾ってきた石をそのまま組み合わせていったかのような印象を受けますが、シュヴァルの石工としての手腕はすばらしいものであり、けっして素材をそのまま使ったわけではありません。

●参照URL  「シュヴァルの理想宮」 http://www.pat.hi-ho.ne.jp/nozomi/tabisaki/Hauterives/cheval01.htm



■マクガイバリズム
 ブリコラージュ実践者として、マクガイバーの右に出る者はいないでありましょう。日常生活ではマクガイバーのような苦境に陥ることはめったにありませんが、ときおりちょっとしたピンチに遭遇することがあります。
 この間もフレンチプレス式のコーヒーメーカーでコーヒーを入れようとしたとき、プランジャー(抽出が終わるまでは上に上げておく必要がある)が勝手に真ん中くらいまで下がってしまいました。プランジャーのバネがへたってきたのが原因のようです。とりあえず手で押さえたまま机の周りを見回したところ、普段はあまり出番のないダブルクリップが目に入りました。


ダブルクリップを一つ取り、それをプランジャーのバーに挟み込んでピンチを切り抜けたのでした。
このような一見つまらないピンチから命に関わるピンチまで、いったん苦境に陥るとそれを切り抜けるために目的意識が研ぎ澄まされます。その目的意識こそがその人の創造性を引き出すトリガーとなるのであって、目的意識の無いところでは創造性も眠ったままになるのだろうと思います。最も必要なのはいかに目的意識をもって周りの世界を見ることができるかなのではないでしょうか。



今日の動画
Primeval: Time (Abby/Connor)
http://www.youtube.com/watch?v=U6zvdukXYZk