パチンコ店放火について


 今回のケースは通常の火災対策では対処が不可能な、明らかに殺人を目的とした放火でした。それゆえ「1.火災への対処」「2.セルフディフェンス」の2点について、「SASシティー・サバイバル」(ジョン・ワイズマン著)からいくつかのテクニックを紹介したいと思います。


火災への対処

 

火災防止装置と同じくらい重要なのは、心構えである。どう対応するか? 何をするか? 適切な質問を自分に問いかけることが大事。答えに基づいて日頃から訓練していれば、火事になってもパニックに陥ることはない。何をすればいいかわかっていれば、自分、そして他の人々の生命を救うことができる。
p118


着ている衣服に火がついた場合
(1)自分の服が燃えている
 胸の前で腕を交差し手を肩にあてる。こうすれば顔を火からある程度護ることができる。 横たわって転がる。火を消すためゆっくり転がること。
 何かで身体を巻く。絨毯、羊毛の毛布、防火毛布、または合成繊維でないカーテンで身体をまく。

(2)他の人間の衣服が燃えている
 まずパニック状態にあったら、気持ちを落ち着かせる。
 床に倒す。必要なら足を払え。
 絨毯、羊毛の毛布、防火毛布などを身体に巻きつけてやる。
 ヤケドした箇所をすぐ水で冷やす。皮膚にこびりついた布は剥がさないこと。
 救急車を呼ぶ。
p124


燃えている建物内を移動する時の3つのルール
(1)ドアのノブに触って、反対側が燃えているかどうかチェックする。
(2)ドアと窓を閉めながら移動する。
(3)可能な限り体勢を低くする。
p126


 火災で死ぬ人間の半分以上は、有毒ガスや煙が原因で死ぬ。
 煙を吸い込むと、ノドがけいれんを起こして気管を閉ざしてしまう。
 煙の充満した部屋で、意識不明で呼吸していない者を発見したら、
 (1)煙から遠ざける。できれば外に運び出す。
 (2)救援がくるまで人工呼吸を施す。
p127


 消防士以外の人間を燃えている建物の内部に入れないこと。どれだけ勇気があろうとも装備もなく訓練も受けたことのない人間は炎の敵ではない。まだ人が中にいれば救出に行きたくなるだろうが、自制すること。
p128

以上はごく一部の抜粋です。知識として知っているかいないかで、とっさの時に結果が大きく違ってくると思います。


 この本に書かれていないことで私が普段から気をつけていることをいくつか書きます。
(1)必ず非常口の位置を確認
 初めて訪れる建物の場合、通常の出入り口の位置と構造をまず確認。建物内に入ったら「誘導灯」の設置状況と「非常口」の位置を確認。

(2)自分がいる場所から非常口までの経路を記憶
 火災で煙が充満すると視界も効かなくなりますから出口の方向もわからなくなります。そのため自分がいる部屋から出口・非常口までの経路は記憶しておく必要があります。

(3)警備員や従業員による避難誘導が無い可能性を考慮に入れておく


暴力から身を守る
 今回の火災は、暴力による殺人行為に限りなく近いものでした。よって暴力への対処法も含めて考えておかないと、対応することは不可能です。


危険をいち早くキャッチする

 護身は、目をよく見開き、周囲を警戒することから始まる。自分のいる状況、そしてそこではいかなる危険が起こり得るのかを常に考える。
 街頭を歩いている時には、前方に注意する。・・・(中略)・・・危険の可能性があれば、道路を渡って反対側に行くこと。
 自分に近づいてくる人間すべてが襲ってくると考える必要はないが、襲ってこないと思ってもいけない。
p56


 護身の第一段階は、犯罪者に襲われる危険性を認識することである。次は危険な状況とはいかなるものかを知ることだ。そして最後の段階が、肉体的に、また精神的にわが身を守る準備を整えることである。
p57

 上記以外にはイラスト入りの護身術が記載されています。打撃系の技が多いですが、素人がそう簡単に習得できるものでもありません。いかに危険な状況を避けるのかが、セルフディフェンスの肝といえるでしょう。



今日の動画
  ●Queensryche-Jet City Woman  http://www.youtube.com/watch?v=1c8UdpiF_T8