弱毒性だからといって軽視しないで

●WHOの感染者数データ
 1.Timeline of influenza A(H1N1) cases  http://www.who.int/csr/disease/swineflu/interactive_map/en/index.html
 4/26から昨日までの1日ごとの各国データが確認できます。表示にはFlach Playerが必要。アメリカ合衆国のデータは土日は変動しません(役所が休みだから?)。
これを見ると数カ国の例外を除いて、劇的に感染者数が増加しているところはあまり見あたりません。今回の感染の特徴なのか、各国政府・国民の対応が功を奏しているのか、詳細はよくわかりません。


 2.Situation updates - Influenza A(H1N1)  http://www.who.int/csr/disease/swineflu/updates/en/index.html
 最新の各国感染者数を確認できます(先の1で紹介している地図は、1日遅れのデータになっている)


■決して軽視してはいけない
 日本国内での感染が確認されてからも、一部の意見に「騒ぎすぎ」「弱毒性なのにおおげさ」など、事態をかなり軽視するようなものが見受けられます。今後ウイルスの毒性がどのように変化するのかは現時点ではわからないのでそれはさておきとして、現在確認できている感染性・毒性をもとにして「なぜ拡大防止する必要があるのか」を書きたいと思います。

 今の段階での毒性は「弱毒性」です。国内で感染した人たちの病状を報道で見る限り、いずれも病状は通常のインフルエンザ並みのようです。「じゃあ、別に感染してもいいじゃん」というのが楽観視している人たちの意見なのですが、通常のインフルエンザでも死亡率が0.1パーセントであることを認識できているのでしょうか?
慢性的な疾患(ぜんそく・糖尿病)を持つ人や、体力の落ちているお年寄り、抵抗力の弱い乳幼児、免疫力が低くなっている妊婦など、それ以外の人たちが守って行かなくてはならない人たちが重症化して犠牲になる可能性が一番高いのです。
毎年流行するインフルエンザについては流行前にワクチンの接種を受けることが可能ですが、今回の新型はまだワクチンがありません。予防することもできない上に、だれも免疫を持っていないため感染して発病する可能性も非常に高いわけです。そうなるとトータルの感染者数も通常のインフルエンザより大幅に多くなると予測されます。死亡率が同じ0.1パーセントだとしても、感染者数が3倍になれば亡くなる人も3倍になるのです。
彼らを守るために有効な方法としては、トータルの感染者数を減らすこと。彼らの周りに感染者が少なければ、それだけ感染しにくくなるのは当然のことです。それを「弱毒性だからたいしたことはない」と周りの人たちが楽観して感染を広めてしまったら、先に挙げた人たちがたいへんな危険にさらされてしまうわけです。

 今回の第一波を最小限の感染で押さえて新型用のワクチンができるまでの時間を稼ぐことができれば、秋以降に予想される第二波に備えることも可能になると思います。そのためにも「感染しない」「感染させない」の両方を、個人個人が実践していく必要があるのではないでしょうか。