四輪でのシフトダウン
■ヒール&トウ
オートバイに乗り始めた頃、「ライディング事始め」(つじ・つかさ 村井真 共著)という本を愛読していました。
ライディングフォームから始まり、基本テクニック・応用テクニックからツーリングまで、オートバイ乗りすべてに推奨したい良書なのであります。
その中で、オートバイでのシフトダウン(アクセルをあおるやり方)について書かれているのですが、最初は意味がまったく理解できませんでした。
二輪の免許を取得中、教習所では「ブレーキをかけてスピードが落ちてきてから、それにあわせてギアを落とし、ゆっくりクラッチをつなぐ」と教えられたので、免許取得後もしばらくはそのように走っていました(ちなみに最初に購入したのは中古のスズキ カタナ 400cc)
オートバイの運転に慣れてきた頃、「ライディング事始め」に書かれているテクニックを試し始めました。
シフトダウンも前記の教習所方式はやめて、ブレーキングしながらクラッチを切り、その瞬間にアクセルをふかすと同時にギアを落とし、すぐにクラッチをつなぐ方法を練習し始めたのです。最初はうまくタイミングが合わなかったのですが、すぐに慣れました。
このシフトダウンを身につけると、どの時点でも適正なギア、つまりアクセルをあければ即加速できる状態を維持できます。
さて、四輪免許の教習中も、二輪の教習中に教えられたのと同じようなシフトダウンを教えられました。さらに、4速−2速などのように、ギアをひとつ飛ばしにシフトダウンするよう指示され、非常にやりにくい思いをしたのです。
先に記載した二輪でのシフトダウン方法(アクセルをあおってからクラッチをつなぐ)は、四輪では「ヒール&トウ」と呼ばれるテクニックが該当します。
ネット上では、ヒール&トウに対して批判的な意見の人も多いようです。ただ、そのような人たちはヒール&トウを身につけていないのではないかと思います。
以前紹介したポール・フレールが、ヒール&トウについて適切な解説をしているので引用します。
「タイムを極力詰めるためには、いったん何らかの理由で減速した後、加速すべき時がきたら、寸秒も許さず全力加速に移れなければならない。そのためには適切なギアにその時点以前に入っていることが必要で、そうすればアクセルを次に踏み込むと同時に最大のトルクが得られる。それはまた、より安全な運転にも通ずる。特に混んだ道路などでは、敏速な加速は、急制動と同様に、しばしば緊急事態を脱するのに有効だからである。
(中略)
「ヒール・アンド・トウを行うと、単にタイムを詰めることができるだけでなく、車が常にドライバーのコントロール下にあるために、ある種の安心感を与えるものである。普通の道路上を走る場合も、一度ヒール・アンド・トウの習慣をつけた人は、それができない車に乗ると非常に不安な感じがするくらいである。横に乗るパセンジャーも、ヒール・アンド・トウのおかげで車の動きがスムーズになって喜ぶだろう。坂道のスタートも、あまり利かない(あるいは手の届きにくい)ハンドブレーキにてこずるよりは、ずっと楽にできるだろう。」
ポール・フレール 「新ハイスピードドライビング」
なお、二輪・四輪いずれも、これらのテクニックはそれほど高度なものではありませんが、習得のための練習は安全な場所で行うようにしましょう。
●参照動画
Race Car Driver & His Footwork http://jp.youtube.com/watch?v=klMur6TPkrM
外人の運転技術を見よ ニコニコ転載 https://www.youtube.com/watch?v=kD9UU18DXpw
●参考書籍
ライディング事始め | |
村井 真 グランプリ出版 1987-02 売り上げランキング : 55480 おすすめ平均 初心者 遅咲きライダーの一人として 後輩に安心して進められる一著 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
新ハイスピード・ドライビング | |
Paul Frere 小林 彰太郎 武田 秀夫 二玄社 1993-12 売り上げランキング : 15840 おすすめ平均 運転というものをよく知るには良書。 永く残る古典 ずっと手元においておきたい本 Amazonで詳しく見る by G-Tools |