各地で山の遭難相次ぐ

 これからの季節は、秋の紅葉を楽しむために山を訪れる人が多くなります。当然「山屋」以外の人も多くなるわけであります。普段は山に登らない方たちの多くは、遭難など自分たちには無縁であると考えていると思います。そのため、靴は運動靴、食料と飲み物は弁当に500mlのお茶だけという、うらやましくなるほどの超軽量装備と相成ります。当然地図やコンパスは持っていません。ほとんどの方はこの装備で生きて家に帰れているわけですが、いったん遭難してしまうと、とんでもないことになります。
■丹沢で不明の4人、3日ぶり無事保護
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20061018034.html
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?id=53391105&slidex=0&slidey=0
 まずは無事でなによりでした。
この遭難は、典型的な「道迷い遭難」です。ハイキングコースと言いながらも、標高は1000メートルを越えている「山系」ですので、いったん間違ったルートに迷い込んでしまうと、それなりの知識が無いと、なかなか正規のルートには戻れないでしょう。山をあまり知らない人にありがちな、「沢沿いに下れば、下山できる」という判断にも、背筋が寒くなります(尾根と沢の形成を理解していれば、このような判断には至りません)
 そもそも、人気のハイキングコースを歩くのに、地図とコンパスを持って入る人は少数でしょう。仮に両方を持っていたとして、正しい使い方や地図の読み方を知らなければ、何の役にも立ちません。地図の読み方に関しては、山歩きや登山をする人のなかにも、正確に読めない人がいます。いわゆる登山用のガイドマップがあれば、地図の読み方を知らなくても問題ないことが多いからです。そのため何年も山登りをしながら、地形図を見ても沢と尾根を区別できない人が存在するわけです。
 登山中に地図とコンパスで現在位置を確認したり、これからのルートにどのような地形の変化があるのかを読み取ることは、グリコにおまけがついていたように、登山についてくる楽しいおまけみたいなものです。常に自分の現在地を把握できているということは、迷いたくても迷えない状況です。時には地図の間違いを発見することまであります。
登山をする人だけでなく、ハイキングを楽しむ人にも、地図の読み方と、それを使って実際に山の中を歩くことの楽しさを知って欲しいところです。遭難してしまった時の装備も大切ですが、遭難しないようにすることがそれよりさらに大切なことだからです。

●参考書籍

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