ザ・バンク 堕ちた巨像(2009年 米・独・英)


 最近の映画やドラマを見ていて、俳優の怒鳴り声がうるさすぎると感じることが多い。監督の指示に従って、脚本に書かれたとおり演技している俳優には罪はないのであるが、感情表現を描くために怒鳴り散らすという手段を乱用しすぎていると思う。

 また、延々と続くカーチェイスや銃撃・格闘シーンにもいいかげんうんざりしてくる。その作品の主題がカーチェイスだったりするのであれば特に問題とは思わない。しかし、そうではない場合見せ場を作ろうと制作者が必死になればなるほど、見る側は飽き飽きしてくることに気づいて欲しいところだ。


 さて本題の映画であるが、実話をベースにしている。映画の内容からは同じようなことが現実にあったとはにわかに信じられないのであるが、よく思い返してみるとずっと前に関連する書籍を購入していた。本棚を調べると見当たらないため、ガンの手術前に行った持ち物整理のときに処分してしまったようだ。何度も思うことであるが、持ち物整理で書籍を処分したのは大きな誤りであった。今回のように読み返そうとした本が処分済みだったケースがあまりに多いからである。


 俳優陣はすばらしく、特にナオミ・ワッツの演技はいつもながらに感嘆するしかない。作品に恵まれない俳優も多い中、ナオミ・ワッツはいい作品に恵まれていると言える。この映画もそれらの中のひとつであろう。


 テーマ曲は極めて抑制の効いた印象的なもので、派手な曲調でなくても要所をおさえて効果的に内容を盛り上げている。


 DVDには特典映像も収められており、1回本編を見た後に特典映像を見て、さらに本編を見るのもいいだろう。
 最後に苦言を書くとすれば、邦題は原題をそのまま使用した方がよかったと思う。


今日の動画
  "The International" OST medley ザ・インターナショナル
   https://www.youtube.com/watch?v=oi2voJH5hIA