正当に怖がることの難しさ

 「四千万人を殺した 戦慄のインフルエンザの正体を追う」を読み終わりました。途中から分かったのですが、この本はスペインかぜそのものに関するドキュメンタリーではありませんでした。大半は、「スペインかぜのウイルスを追い求める現代の研究者」を長々と描いています。原著者の書き方もまとまりの悪いところが多く、翻訳も日本語として意味をなしていない箇所がいくつか出てくるため、あまりおすすめはできません。


■私のインフルエンザ対策状況
1.マスク
 普段から20枚程度インフルエンザ用マスクは備蓄してありましたが、メキシコで感染が広まっているとの報道があった直後に、N99規格のマスクを10枚だけ追加購入しました。今の時点ではまったく使用していません。国内で第一波がどれくらい広がるのかによって追加購入を考えたいと思います。


2.食料
 地震対策用に4週間分の備蓄が常にありますが、今はまだ追加する必要はないと考えています。夏を過ぎたあたりに追加購入を考えたいと思います(水も含めて)


■マスコミの報道とその批判について
 「どこどこで誰それが感染の疑い」とマスコミが逐一報道していることに対して、「日本のマスコミは過剰反応しすぎ」などと批判している方もいるようです。しかし身近に感染者が発生しているという情報は、たとえ「可能性」の段階であっても報道するべきでしょう。このような「疑い」段階で報道する姿勢は、日本のマスコミだけでなくどの先進国でも同じです。早く情報が伝われば、その地域の人々はそれだけ早く対策することが可能になるからです。
落ち着いて対処することと、無知からくる楽観主義で現実を無視することとはまったく中身が違います。このような事態においても、ほどほどのバランスというのが大切なのだと思います。


「ものを怖がらな過ぎたり、恐がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなかむつかしいことだ。」
寺田寅彦  「小爆発二件」より

原文へのリンク  http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2507_13840.html