至上の愛 ジョン・コルトレーン

A Love Supreme/John Coltrane
私がジャズを聴き始めたのは、以前勤めていた職場に元ジャズ奏者だった方が同僚としてこられたのがきっかけでした。
その人は当時既に60歳近くで、病気のため片手が少し自由のきかない状態でした。話によると、戦後には進駐軍(米国軍)相手のクラブで、クラリネットとアルトサックスを演奏していたとのこと(しかも高校生の時)。
当時、私が聞いていた音楽のジャンルは「クラシック」と「ヘヴィメタル」オンリーという、かなり偏ったもので、ジャズなんかはまったく聞いたこともなく、得体の知れないものでした。
その人に古いジャズのテープなどを借りたりしながら少しずつ聞いていったのですが、正直訳が分かりません。どうやらこの音楽は聞く側に努力を強いるらしい・・・それじゃ努力してみようかということで「ジャズを聴く ジェリー・コカー著」という本を買って読み始めました。これには推奨するジャズ奏者とそのレコードが書かれており、それを元に文字通りの勉強を始めたのです。
コルトレーンの「至上の愛」もその推奨レコードの1枚でした。聞き始めてからかなりの期間は、これをかけて椅子に座ると、ものの2分もたたないうちに爆睡状態に陥り、この曲が終わる1分前に覚醒するという、実に奇妙な行動を繰り返しておりました。ジャズ初心者がこれを聞くのは難しいということが分かったのは、このアルバムを頭から最後までしっかりと聴くことができるようになってからのことです。そのころには私も「ジャズ一辺倒」になっていたのでした・・・